任侠山口組は「自滅する」 神戸上層部関係者を直撃、「ヤクザではない」完全無視宣言

 指定暴力団神戸山口組から一部幹部らが離脱し、新組織「任侠団体山口組」の結成を表明してから30日で1カ月を迎えた。かつての山口組は3組織に割れ、警察当局は新たな抗争に発展する可能性もあるとみて警戒を強めているが、神戸山口組上層部に近い関係者を直撃すると「あいつらはヤクザではなく、相手にしていない。3年ももたず、自滅するだろう」と完全無視宣言が飛び出したのだった。
 「そもそもの原因は織田の得手勝手にある。山健組の5代目組長争いに敗れて飛び出したことに過ぎない」
 神戸山口組上層部に近い関係者は夕刊フジの取材にこう切り出した。
 「織田」とは神戸山口組の若頭代行で、神戸山口組の井上邦雄組長(68)がトップを兼ねる中核組織・山健組の織田絆誠(よしのり)・元副組長(50)を指す。4月30日、神戸山口組若頭補佐で池田幸治・真鍋組長(50)らと離脱し、新組織を結成。代表の座についたのは記憶に新しい。
 関係者によると、山健組では、織田元副組長の離脱直前に中田広志若頭代行がナンバー2の若頭に昇格する人事が内定しており、織田元副組長が井上組長の跡目である5代目組長争いに敗れたことで組織を飛び出したという。
 関係者は続ける。「いわば人間性の問題。織田は口が上手で、勝手に派閥を作ったりしていた。井上親分にもかわいがられていたが、結局は跡目を継ぐだけの器量がなかったということ。それで前日の4月29日には親睦会名目で神戸山口組の直参(直系組長)を集めて『あしたから代紋違うからな。(神戸山口組の)執行部の大半もこちら側』などと演説していたそうだ。まんまとだまされて、結成式に参加した直参もいた。義理も礼節もない男だ」
 一緒に離脱し、新組織の本部長になった池田組長についても手厳しい。
 「井上親分に一番かわいがってもらっていた。逮捕されると弁護士をつけてもらっていたし、車も買ってもらっていた。突然、偉くなって(神戸山口組で若頭補佐に抜擢)何か勘違いしているのではないか」
 新組織幹部らは結成時、井上組長らによる「金銭の吸い上げ」を非難したことについても「神戸山口組の会費は6代目山口組よりも安い。山健組は懲役に行っている者が多く、家族の面倒を見なければならない。会費はほかの組よりも高くならざる得ない」と指摘した。
 今回の事態を受けて神戸山口組は今月8日、兵庫県淡路市の本部事務所で開いた定例会で井上組長が謝罪し、抗争厳禁を通達した。
 この真意についても「義理も礼節もなく、要はあいつらはヤクザではなく、一切相手にしないということ。他団体も相手にしていない。私利私欲だけで大義がないから任侠を名乗っているだけ。すでに子方(子分)は戻ってきている組もある。3年ももたず、自然消滅するのではないか」と語った。
 新組織側は28日に兵庫県尼崎市の関係組事務所で定例会を開いたが、警察当局は昨年末時点での構成員数が約2600人だった神戸山口組から離脱したのは「500人程度で、参加後、再び残留に転じる者が出るなど流動的」とみている。さらに関係者の説明と同様に神戸山口組の「分裂」と認定せずに「内部対立」との見方を崩していない。
 最後に関係者は「あいつらのことをしゃべっていたら、だんだん腹が立ってきた。声が大きなって、ごめんな」と謝った。新組織は神戸山口組の完全無視宣言にどう対応するのだろうか。